今回は研究員の渡邊が担当しました.
Hyperthermia, but not dehydration, alters the electrical activity of the brain. Anne M. J. van den Heuvel, Benjamin J. Haberley, David J. R. Hoyle, Nigel A. S. Taylor & Rodney J. Croft. European Journal of Applied Physiology, volume 120, 2797-2811, 2020. doi:10.1007/s00421-020-04492-5
熱および脱水は,中枢神経機能を修飾し,高体温および脱水状態のヒトの脳の構造・機能的変化が観察されていますが,どちら(高体温・脱水)のストレスがより大きな影響を及ぼすのか,また,これらのストレスが複合的に作用することで脳の電気的活動の変化がさらに高まるのかどうかは依然として不明なままであるため,それを脳波のパワーおよびタフなプロトコルにて明らかにした研究になります.結果,脳波のアルファーパワーにおいて,①全領域(前頭・頭頂・後頭部)を合計したパワーは,温度増加により変化しない,②中程度の温熱が前頭部のアルファーパワーを増加させ,後頭部のパワーを減少させる,③後頭部と比較し,前頭部でアルファパワーが脱水時に減少,④平均体温の変化と水分補給状態の間の交互作用なしという結果になりました.一方,ベーターパワーおいて,①全部位を合計したパワーは,温度増加により低下,②脱水時によるパワー変化なし,③平均体温の変化と水分補給状態の間の交互作用なしという結果になりました.このことから,生理的ストレス状態(体温・脱水)と脳の電気活動との間に独立した関係がある可能性が示されました.