稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

2023/04/06 Journal Club

今回は研究助手の杉が担当しました。

Comparative studies on the effects of high-fat diet, endurance training and obesity on Ucp1 expression in male C57BL/6 mice. Samaneh Shirkhania, Sayed Mohammad Marandia, Fatemeh Kazeminasaba, Maryam Esmaeilic, Kamran Ghaedib,c, Fahimeh Esfarjania, Hanieh Shiralian-Esfahanic,Mohammad Hossein Nasr-Esfahanic,Gene 676 (2018) 16–21

https://doi.org/10.1016/j.gene.2018.07.015

肥満は世界的な社会問題である。運動を行うことによって、皮下における白色脂肪細胞 (scWAT)はベージュ細胞組織への変化を起こす。それは、肥満などの抑制に有効である。今回の研究ではマウスを高脂肪食群と低脂肪食群で飼育を行い、飼育12週目でそれぞれの群を低脂肪食で運動を行う群・低脂肪食で運動を行わない群・高脂肪食で運動を行う群・高脂肪食で運動を行う群・高脂肪食で運動を行わない群の計8群48匹を対象に実験を行った。結果については scWATのUCP1mRNA発現レベルは運動によって有意に上昇した。BATにおけるUCP1mRNAの発現レベルは高脂肪食群で上昇し、肥満になった12週目以降高脂肪食群と運動を行う群では低下した。scWATのミトコンドリア増加は運動だけではなく高脂肪食でかつ12週目以降の高脂肪食運動を行わない群でも起きていた。これらの結果は多くの先行研究と共通するものがあった。肥満になるとBATとscWATにおけるミトコンドリアの上昇は起きているが代謝上昇を起こしていないこと。運動を行うとUCP1の減少がおきること。これらは発熱によって体温が上昇するためBATによる発熱を抑制する機能が働いているのではないだろうかと結論づけている。