稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

2022/5/19 Journal club

今回のJournal Clubは研究員の片岡が担当いたしました。
紹介論文は以下です。
Sweating distribution and active sweat glands on the scalp of young males in hot-dry and hot-humid environments.
European Journal of Applied Physiology (2018) 118:2655–2667
https://doi.org/10.1007/s00421-018-3988-7 

湿度が発汗(全身と頭皮部分)へ与える影響と、頭皮での発汗の部位差を調べました.若年成人男性8名が①低湿度条件(室温32℃, 湿度30%)または②高湿度条件(室温32℃, 湿度85%)にした温度制御室の中で、10分安静の後、60分間42℃のお湯で足浴しました.その時の頭部の発汗量(吸収紙法と換気カプセル法)と全身の発汗量(体重より)、皮膚温、直腸温、心拍数について、両条件間で比較しました. その結果、湿度が高いほど、体全体の発汗量が減少し、その時の平均皮膚温度は上昇していました.また、頭部発汗量(前頭部、側頭部、後頭部、頭頂部)は両条件間で差がなかった一方、頭部皮膚温(前頭部、側頭部、後頭部)は高湿度条件で高かったです.部位差について、高湿度条件で、頭頂部の発汗量は前頭部より低かったが、他では特にありませんでした.直腸温の安静からの変化量は高湿度条件で低湿度条件より大きく、心拍数に差はありませんでした. 以上より、高湿度条件で体全体の発汗量は減少したが、頭部の発汗量には両条件で差がありませんでした。