稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する
Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

発熱

体温の測定は、臨床症状の観察とともに感染症の発症や治癒の過程を知るために重要かつ簡単な方法です。しかし、感染症そのものを分別するには力不足です。ただし、新型コロナウイルスでは継続的かつ遷延する発熱がみられる(熱型)ようですので、自宅で様子を見るにしても重要な情報となります。現在インフルエンザのような診断キットはなく、新型コロナウイルスはウイルスそのものを、無毒化した上で一部の部分を測定機械の中で増殖させるPCRという方法で診断されています。肝炎ウイルスはインフルエンザと少し似ていて、通常の肝炎の有無は血液の抗体検査だけで割と簡単に行うことができます。肝炎にかかっている患者さんにいる肝炎ウイルスの活動性や治療効果を正確に知るにはPCRを用います。ただしPCRはいくつかのステップを手作業でやる方法で一般的な臨床検査とは言えないと思います(実験室ではよく使う方法ですが、もちろん感染性の物を扱うときはそれなりの場所を必要とします 測定者の資格や 感染物をあつかうということで取り扱いに習熟した人を選ぶ必要があります)。新型コロナウイルスは有無を知るのにいきなりPCRから始めないといけないのです。テレビを見ているとキャスターの皆さんが、何やってんだ、つべこべ言わずに早くやれ!と叫んでおられました。確かにそうしたらいいのですが、手間もコストも場所も機械も必要な検査ですのでちょっとした疑い程度でやるのは現状難しいでしょうし、現場は疲弊し混乱を産みます。限られた資源を有効に使うというスタンスでの冷静な発言が必要です。

何はともあれ、人混みをできるだけ避ける、日頃の手洗い、咳エチケットと同様に、ぜひ体温の測定は簡単な健康管理方法ですから、自分の平熱をまず知るのは大事です。そして体温上昇とその経過を見て闇雲に慌てない自己管理、しかるべきタイミングでの医療機関への相談をしていただければと思います。