稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

Journal Club (04/17/2020)

 少し長い春休みが明けて、それでも一足先に大学院のゼミは4/17からスタートしました。今年度からは昨年度4年生だった唐木さんがM1に、M2だった加藤くんがD1にそれぞれ進学し、永島先生、丸井先生、増田に加えて5人で実施しております(初のリモート開催)。

 今回はD3増田が担当ということで、以下の論文を紹介させて頂きました。

Tan, C. L., Cooke, E. K., Leib, D. E., Lin, Y. C., Daly, G. E., Zimmerman, C. A., & Knight, Z. A. (2016). Warm-Sensitive Neurons that Control Body Temperature. Cell, 167(1), 47-59.e15. https://doi.org/10.1016/j.cell.2016.08.028

 視床下部視索前野において、温熱に特異的なニューロンを同定したという論文です。同時期にTRPM2がcore temperature sensor であるという論文も出てますが、Tanら(2016)はBDNFとPACAPに着目しました。37℃程度の温熱刺激に特異的に反応し、オプトジェネティクスで刺激を行うと自律性および行動性体温調節をコントロールしていることが報告されています。興味深いことに、視床下部のローカルな温度上昇には反応しておらず、core temperatureに特異的ではないという結果も示されています。

 4年前の論文でしたが、多くの研究手法を用いて論理的にストーリーが展開されており、さすが一流雑誌だなと思いました。

 新型コロナの影響で実験などの研究活動が行えず、我々にとっては歯痒い日々ですが、ウイルスと戦う医療従事者の皆様には大変忙しく不安な日々かと思います。そういった方々に感謝を申し上げるとともに、自分たちが少しでも貢献できるような行動を選択していきたいと思います。

 長くなりましたが2020年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

D3増田