稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

journal club (5/8/2020)

5月8日、GWが明けてから初めてのjournal clubが行われました。

担当はM1唐木です。

以下の論文を紹介いたしました。

Polish Journal of Veterinary Sciences Vol. 22, No. 1 (2019), 83–90 Estrogenic properties of genistein acting on FSHR and LHR in rats with PCOS

T. Zhang, X.X. Chi

https://journals.pan.pl/dlibra/show-content?id=110875&/estrogenic-properties-of-genistein-acting-on-fshr-and-lhr-in-rats-with-pcos-zhang-t-chi-x-x?language=en

生殖腺刺激ホルモンに対するゲニステインの影響を調査し、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)に罹患したラットにおけるFSHR(卵胞刺激ホルモン受容体)やLHR(黄体形成ホルモン受容体)などの受容体に対するゲニステインの作用を解明する研究を行っている論文です。

ゲニステインで処理したラット群において、テストステロン, LHの濃度およびLH / FSHの比率は大幅に減少し、また同群から収集された卵巣組織におけるLHRの発現プロファイルは、エストロゲン処理マウスと同様であったことが示されました。

これらのことから、ゲニステインが閉経周辺期の卵巣および子宮の機能の改善におけるFSHおよびLH受容体の発現の調節に有意な役割を果たし、また、ゲニステインとエストロゲンの類似性は更年期障害の治療に有効な薬剤として使用でき、卵巣の老化を防ぐ可能性があることが推察されました。

本論文の実験から、プロゲステロン分泌の増加が顆粒膜細胞の分化および卵胞停滞の発生に繋がる理由とメカニズムを検討する必要があることが明確化されています。

今後の研究を行うにあたって、受容体へのゲニステインの作用や実験の手順など、非常に勉強になりました。

M1 唐木