稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

2022/6/23 Journal Club

今回のJournal Clubは研究員の片岡が担当いたしました。
紹介論文は以下です。
Brain endothelial cell TRPA1 channels initiate neurovascular coupling
Pratish Thakore, Michael G Alvarado, Sher Ali, Amreen Mughal, Paulo W Pires,
E Yamasaki, Harry AT Pritchard, Brant E Isakson, Cam Ha T Tran, Scott Earley
Elife. 2021 Feb 26 doi: 10.7554/eLife.63040. PMID: 33635784

この実験では、毛細血管内皮細胞上にあるTRPA1は神経活動に刺激され、上流の実質細動脈を膨張させる、逆行性のシグナルを機能的充血のために誘導する、という仮説を検証しました。測定は成体(12-16週齢)の雌雄マウスを対象とし、ex vivoとin vivoのアプローチを組み合わせて実施しました。測定内容は毛細血管内皮細胞の単離、ホールセルパッチクランプ電気生理機能評価、プレッシャーミオグラフィ、蛍光イメージング、Ca2+イメージング、赤血球造影によるin vivo脳微小循環血行動態測定(レーザースキャン顕微鏡)、ひげ刺激(ウィスカー刺激)に対する体性感覚皮質の灌流量の変化(レーザドップラ―血流計)です。
結論として①TRPA1チャネル活性化によってCa2+シグナルが毛細血管網内を伝播し、この経路はイオン性プリン作動性P2X受容体活性とパンネキシン-1(Panx1)発現に依存する。②内皮細胞TRPA1チャネルは、体性感覚野の血流調節と機能的充血に寄与している。