稲田大学 体温・体液研究室

ヒトの温度と水に関わる問題を解決する

Waseda University Body temperature and Fluid laboratory

2022/12/08 Journal Club

今回のジャーナルクラブは片岡が担当致しました。

J Neurophysiol. 2003 Jun;89(6):2975-83.
doi: 10.1152/jn.00743.2002.

Title: Response of the respiratory network of mice to hyperthermia                  
Andrew K. Tryba and Jan-Marino Ramirez

高体温時の換気亢進のメカニズムについて、30℃および40℃の高温がVRG(ventral respiratory group: VRG)と舌下神経運動核の神経全体の活動へ与える影響を調べた研究です。マウス(CD-1,0-6日齢)の延髄の、VRGを含んだ箇所を横向き(650μmの厚さ)にスライスした切片の中で、呼吸中枢ネットワーク(ventral respiratory group: VRG) を単離し、実験に使用した。脳切片は人工脳脊髄液(30℃,flow rate 15 mL/ min, total volume 200 mL, 95 % O2, 5 % CO2, pH=7.4)が循環する記録用チャンバー(6 mL)に浸された。この人工脳脊髄液(ACSM)の温度を30℃→40℃→30℃に変化させ、その時の舌下神経とVRGの神経活動を同時に測定した。その結果、ACSMを30℃→40℃に温めると、30℃と比較して40℃ではVRG burst amplitudeが減り、burst間隔が狭くなった。これと同様の傾向が舌下神経でも見られた。データは高温が、VRGで生じた呼吸神経活動に直接影響することを示す。最も劇的な応答は温度が上昇した定常状態に維持された時ではなく、浴温が上昇した時に起こっていた。